F1デビューの角田裕毅の同期がド派手だ。シューマッハJr.の実力は (3ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 熱田 護、桜井淳雄●撮影 photo by Atsuta Mamoru, Sakurai Atsuo

公私ともに振る舞いが注目されているニキータ・マゼピン公私ともに振る舞いが注目されているニキータ・マゼピン マゼピンはF3時代にはライバルを殴って出場停止になったり、F2ではレース中に危険なドライビングをしたとして2度もペナルティを科されたり、サーキット内での振る舞いが度々、問題視されていた。それはサーキットの外でも変わらない。彼はロシアの名門モスクワ大学の学生でもあるのだが、昨年末には自身のインスタグラムに車内で女性の胸を触ろうとする動画を投稿したり、最近は信号無視で罰金を科されたりと、話題に事欠かない。

 現代のF1は自動車メーカーの育成選手がグリッドの大半を占め、彼らは若い頃からドライビングのほか、メディアやスポンサーへの対応などもしっかりと教育されて、スマートで洗練されている。そのなかで、マゼピンは異彩をはなっている。

 マゼピンとミックが同じチーム内でうまくやっていけるのか、そう心配する人がいるかもしれないが、すでにふたりはレーシングカート時代に2年間、イタリアの名門チーム「Tony Kart(トニーカート)」でチームメイトとして活動している。お互いを尊重し、関係も悪くなかったという。

 マゼピン自身は所属するハースのマシンの力を冷静に分析しており、デビューイヤーは難しいシーズンになることを覚悟しているようだ。「おそらく僕は誰とも戦うことはないだろう」とさえ語っている。とはいえ、同じ年齢のチームメイトには絶対に負けたくないはずだ。

 マゼピンのハートにいったん火がついたら、止めるのは容易ではないだろう。ハースのギュンター・シュタイナー代表にかかる責任は重大だが、彼も非常に難しい立場にある。チームの財政を支えるマゼピンがチームを去ることになれば、ハースは存亡の危機に立たされる。その一方でパワーユニットの供給を受けるフェラーリだけでなく、世界中から注目を集める"金の卵"ミックをしっかりと育てなければならないという使命もある。シュタイナー代表は難しい舵取りを強いられることになるだろう。

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