徹底されたF1のコロナ対策。フォトグラファーが明かす現地での実情

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 熱田 護●撮影 photo by Atsuta Mamoru

ーーそんな苦労があったんですね。でも、帰国して1カ月半後には中東に3週間滞在して、バーレーンでの2連戦と最終戦のアブダビGPを取材しています。感染対策にはイタリアとの違いはありましたか?

熱田
 バーレーンはPCR検査の管理体制がしっかりしていました。事前検査は必要なかったのですが、空港に着くと、すぐに施設内でPCR検査を受けました。その際に専用アプリをスマートフォンにインストールする必要があるのですが、このアプリが本当によくできていました。バーレーンでも基本的に5日に1回、必ずPCR検査を受けなければならなかったのですが、その都度、結果がアプリ内に蓄積されます。アプリから陰性証明書もダウンロードできて、スムーズに取材ができました。また、アブダビへ移動する際にはそれを入国審査にも使用しました。

ーーサーキット内の感染対策はいかがでしたか?

熱田
 すごく厳格で、フォトグラファーは決められた番号のミニバンでしか移動することができませんでした。イタリアのようなことはなかったです(笑)。でもバーレーンではメディアから感染者が出ました。2連戦の1戦目にロシア人のフォトグラファーが新型コロナに感染し、途中でいなくなってしまいました。そのロシア人は僕の隣で表彰式を撮影していたので、かなりビビりましたね。

ーーバーレーンの2連戦の後は、最終戦のアブダビGPです。同じ中東とはいえ、国境を超えることになりますが、本来はアブダビで2週間の隔離が必要となりますよね。

熱田
 それを回避するためにF1のチーム関係者、メディア、スタッフがFIAのチャーター便でアブダビまで大移動しました。バーレーンのレースが終わった翌日に12機のチャーター便で飛びました。飛行機を降りると専用の通路ができていて、そこで五月雨式にPCR検査を受けていきます。

 その後、通路を通って外に出ると、チャーターしたバスがたくさん並んでいました。チーム用、メディア用、運営スタッフ用などに分かれていて、指定されたバスに乗り込むと、警察車両の先導で隔離されているエリアにあるホテルにそれぞれ向かいました。

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