徹底されたF1のコロナ対策。フォトグラファーが明かす現地での実情

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 熱田 護●撮影 photo by Atsuta Mamoru

サーキットのプレスルームは密を避けるため隣の席との空間は大きく確保されていたサーキットのプレスルームは密を避けるため隣の席との空間は大きく確保されていたーーサーキット内での移動に関してはどんな制限がされているのですか? 

熱田
 各レースのメディア関係者は50〜60人で、ジャーナリストとフォトグラファーの比率が半々でした。フォトグラファーはコースとピットの2チームに分けられ、感染防止のために行き来することはできません。だから表彰台はコースから撮影していました。

 コースに出るフォトグラファーは大人数で移動するのを避けるために3、4人のグループに分けられ、決められた番号のミニバンに乗って移動。ところが、あるセッションの前に移動しようと思ったら、僕の番号のミニバンがいないんです。慌てて担当者に連絡してもらったら、「今ミニバンのドライバーが昼食をとっているので1時間待ってくれ」と。「それじゃあ、セッションが始まってしまう」と文句を言ったら、結局、どのミニバンに乗ってもいいということになりました。それもイタリアらしいですよね(笑)。

ーー現場も混乱していたんですね。帰国は問題ありませんでしたか? 

熱田
 取材が終わって、ようやく日本に帰れると思ったら、フライトが突然キャンセル。旅行者が少ないので、航空会社はどんどん便を間引いていくんです。結局、チケットを新たに探して購入することになり、余計な出費がかさんでしまいました。それでも何とか帰国したのですが、その後が一番辛かったかもしれません。

 新橋のホテルで2週間の自主隔離をしていましたが、外出は近所のコンビニかお弁当店ぐらい。狭い部屋に何日もこもっていると、運動不足になるし、退屈ですし、お金もかかるし......。おまけに隔離用の部屋なのでルームサービスはないし、掃除もしてくれません。タオルやシーツなど何日かに1回、ドアの前に置いてあって、それを自分で交換する。部屋が汚れてきたので、掃除機を貸してほしいとお願いしたら、それもダメだと。「汚れた部屋にこのままいろってことですか......」と言ったら、粘着クリーナーの「コロコロ」を貸しますって(笑)。

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