熟練F1フォトグラファーの本音。今季が最終年のホンダは勝てるのか? (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 五十嵐和博●写真(プロフィール) photo by Kazuhiro Igarashi

●元世界チャンピオンのセバスチャン・ベッテルとフェルナンド・アロンソも注目の存在です。4度の世界チャンピオンに輝いたベッテルがフェラーリからアストン・マーティンに移籍し、2度の世界タイトルを獲得した39歳のアロンソは古巣のルノーから復帰します。ふたりの元チャンピオンは勝つことができると思いますか?

桜井 ベッテルのチームメイトのランス・ストロールは去年、ポールポジションを獲得していますし、決して遅いドライバーではありません。ベッテルといえどもウカウカしてられないと思います。ベッテルが復活できるかどうかは、アストン・マーティンが提携するメルセデスの技術をどれくらい引っ張ってくることができるのか、そこに尽きます。そこはチームオーナーであるストロールのお父さんの手腕にかかっていると思います。

熱田 ベッテルはストロールよりは速いだろうけど、最終的には昨年のペレスぐらいの成績(*1勝・ドライバーズランキング4位)に落ち着くと予想しています。ベッテルはあれだけの実績があるので、クルマ作りに関しては、チームにとって彼の経験は得難いものになるはず。そのために高いお金を払ってベッテルを雇ったと思いますので、チームの成績は上向きになると見ています。

桜井 アロンソの存在は、チャンピオンシップを引っかき回してくれるひとつのポイントになると思いますね。ルノーも昨シーズンの中盤戦以降は登り調子になっているので、メルセデスと互角の勝負というわけにはいきませんが、コンストラクターズ・ランキング2位のレッドブル勢と争って、レースに波乱を巻き起こしてくれることを期待しています。

熱田 昨年末にアブダビで開催された若手ドライバーテストを取材しましたが、アロンソはトップタイムをマークしていました。メルセデスのマシンは元F1ドライバーのストフェル・ハンドーンと2019年F2チャンピオンのニック・デ・フリースがドライブしていましたが、アロンソのほうが明らかに速かった。キレッキレでしたね(笑)。全然衰えてないし、やる気がみなぎっていると思います。ただタイトルを狙えるクルマじゃないので、それを彼自身がどこまで許容して、紳士的にチームのために仕事ができるのか。そこが、アロンソが活躍できるかどうかのポイントになると思います。

桜井 結局、今シーズンもメルセデスを除いたセカンドグループが熾烈なバトルを繰り広げることになりそうですね。

熱田 そうですね。新たにメルセデスのパワーユニット(PU)を搭載するマクラーレンに加入したダニエル・リカルドも絶対に面白いですよね。リカルド対アロンソ、リカルド対フェルスタッペンのバトルはすごく楽しみ。リカルドは間違いなく現役最高のドライバーのひとりだと思います。フェルスタッペン、ルクレール、アロンソと、セカンドグループに超一流のドライバーがそろっています。メルセデスは今年も絶対に速いので、そこはひとまず置いておいて、表彰台の一角を誰がとるのか。そこが見どころのひとつですね。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る