スーパーGT、合言葉は「打倒ホンダ」。トヨタと日産が体制にテコ入れ

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 ゴール直前での大逆転劇でチャンピオンが決定した2020年のスーパーGT最終戦から早2カ月。2021年に向けた新体制作りは、余韻に浸る間もなく早々に動き始めている。

 1月に入り、GT500クラスに参戦するホンダ、トヨタ、日産の3メーカーは次々とドライバーズラインナップを発表。その顔ぶれを見てみると、年間王座を獲得したホンダが"現状維持"を選択したのに対し、ライバルのトヨタと日産は"打倒ホンダ"を意識した布陣を揃えてきた。

ホンダに王座を奪われたトヨタと日産はどう対抗するのかホンダに王座を奪われたトヨタと日産はどう対抗するのか まずはシリーズチャンピオンを獲得したホンダ。昨年はシーズン序盤こそ後れを取ったものの、終わってみれば全8戦で4度の優勝と、5度のポールポジションを獲得。第7戦・もてぎではトップ5を独占するなど、安定した速さと強さを発揮した。

 2021年は、5チームのうち4チームが前年の体制を継続する。チャンピオンを獲得したチーム・クニミツは「STANLEY NSX-GT」という車両名に変更となり、マシンのカラーリングも一新。ゼッケン1番をつけて新シーズンに臨む。

 ドライバーも山本尚貴と牧野任祐のチャンピオンコンビで変更はない。昨年12月に髄膜炎を発症して入院生活を送っていた牧野も年明けに退院し、シーズン開幕に向けて回復に努めている。

 ホンダ勢で唯一、体制を変更したのは16号車の「TEAM RedBull MUGEN」だ。昨年はGT300クラスで活躍し、スーパーフォーミュラでも1勝を挙げた大湯都史樹が新たに加わり、笹原右京とペアを組む。

 ホンダ陣営はこれまで「ベテラン+若手」という組み合わせが多い印象だった。だが、大湯は22歳で、笹原は24歳。この若手コンビは勢いに乗れば"台風の目"になる可能性を秘めている。

 ホンダ陣営のドライバーの入れ替えは、10名のうち1名のみ。ここまで体制が変わらないのは近年では珍しい。ただ、ホンダも世代交代を進めていないわけではない。若手ドライバーたちが台頭してくれば、今シーズンも盤石な強さを見せてくれるだろう。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る