コロナ禍のF1現場で名フォトグラファーは見た。昨季の印象的な出来事 (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 五十嵐和博●写真(プロフィール) photo by Kazuhiro Igarashi

熱田 僕はラッセルが現役の20人のF1ドライバーの中でもトップクラスの速さがあり、フェラーリのシャルル・ルクレールやレッドブルのマックス・フェルスタッペンに並ぶ才能の持ち主だと思います。個人的には、ハミルトンは今年が最後のシーズンになるんじゃないかと感じています。今年ナイトの爵位が授与されたことですし、ミハエル・シューマッハを抜いて史上最多8度目のタイトルを獲得して、名実ともに史上最高のドライバーになって引退。その後をラッセルが引き継ぐというのが美しいストーリーだと思うんですけどね。

桜井 ハミルトンのチームメイトのバルテリ・ボッタスも速いんだけど、レースになると、ダメになってしまう。勝つために必要なのは単純な速さだけじゃないんですよね。ボッタスは競り合いをしても、1回抜かれてしまったら追い返せません。優しいんだよね。日本人っぽいのかな(笑)。

熱田 でも今のハミルトンの強さは圧倒的ですよね。7度目のチャンピオンを決めた昨年のトルコGPでも、ウェットからドライに変わっていく難しい路面状況の中、溝がすっかりなくなったインターミディエイトタイヤをしっかりマネジメントして、最後まで走り切って優勝してしまった。あんなレースを見せられたら、もう誰も追いつけないと思いました。2021年もチャンピオン争いの中心になるのはハミルトンとメルセデス。そこは絶対に揺るがないですよ。

●ハミルトンとメルセデス以外に印象に残ったドライバーやチームはありますか?

熱田 レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンの不振ですよね。もう少し行けると予想していたのですが、ランキング7位の結果に終わってしまった。レッドブルはピエール・ガスリー(現アルファタウリ)、そしてアルボンが乗っても結果を出せず、今年からは新たにセルジオ・ペレスが加入します。それでどうなるのかが楽しみですよね。

桜井 フェラーリとセバスチャン・ベッテルの低迷は印象に残っています。ベッテルとルクレールの間にあれだけの大差がついてしまったのは、レッドブルのフェルスタッペンと同様に、ルクレールのドライビングが特殊だからだと思います。フェルスタッペンとルクレールに共通しているのは、F1マシンをまるでゴーカートのように操れること。それだけふたりのマシンコントロールの能力はズバ抜けていますので、素性の悪いマシンでもそれなりに乗りこなしてしまうんですよね。

 あとフェラーリに関しては、おととしの終盤のことですが、メカニックが「何でうちのマシンが速くなっているのかわからない」と話していたのが印象的でした。

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