F1昇格。角田裕毅が日本人ドライバー歴代最高の逸材である理由 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 昨年のF2での戦いぶりを見ていると、メンタル面でも非常に強いというイメージがあるかもしれないが、強い時もあれば焦りが先行して崩れることもあった。ハンガロリンクやムジェロ、バーレーンの第1ラウンド予選などがそうだった。

 しかし、メンタルトレーナーとともに精神面にも磨きをかけてきた。それがバーレーン予選のミスからレース1で大きく挽回した走り、そしてサヒールラウンドでの完璧なレース週末、さらにはF1昇格決定につながった。

「僕は未来のことを考えがちで、シーズン後半に差しかかった時も『スーパーライセンスを獲れなかったらどうしよう』とかいろいろ考えて、不安を持ったりしがちだったんです。だけど、レース週末の緊張やプレッシャーをできるだけ抑えるためにどうしたらいいのかをメンタルトレーナーと考え、目の前のセッションごと、ラップごとで考えて戦ってきたのが、F2での成功にもつながったと思っています」

 角田はややビッグマウスとすら感じられるような、有言実行のスタイルだ。負けん気が強く、コース上でも一歩も退かない。

 その一方で、F1昇格決定直後も「今は日本に帰って、できるだけ美味しい食べ物を食べることで頭がいっぱいです」と言ったように驚くほど子どもっぽい面もあり、人なつっこく憎めない性格でいろんな人から可愛がられる。すでにアルファタウリのチーム内でもそのポジションを確立しているという。

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 F1昇格1年目の2021年も、アルファタウリのファクトリーのあるイタリアではなく、引き続きイギリスのミルトンキーンズに住み、レッドブルのファクトリーに出入りして経験値を積んでいく予定だ。

「レッドブルからも言われたんですが、1年目はイタリアではなくイギリスに住みます。レッドブルのシミュレーターがあって、アルファタウリもそこを使っているので、できるだけファクトリーに近いところに住んでシミュレーターに乗ってクルマへの理解を深めてほしいということで、イギリスに住むことになりました」

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