レッドブル・ホンダの速さは本物。最終戦でメルセデスAMGに追いつく (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 レッドブル・ホンダのパフォーマンスが急にメルセデスAMGに近づき、追い越したわけではない。

 振り返ってみれば、1周目でリタイアを余儀なくされたサヒールGPでは予選で0.056秒の僅差に迫っていたし、苦手としてきたバーレーンGPでも2位・3位のダブル表彰台を得ていた。トルコGPでは雨で自滅したが、金曜からトップタイムをマークして予選ではポールポジション目前の走りを見せていた。その前のエミリア・ロマーニャGPでも、パンクでリタイアするまではメルセデスAMGの1台を下して2位をもぎ取っていた。

 開幕当初はCFD(数値流体解析)と実走のコラレーション(誤差補正)に問題を抱えていたため、RB16が想定どおりの空力性能を発揮せずに苦戦を強いられた。だが、様々な検証作業の末に誤差の解明に成功し、続々とアップデートを投入してきたことによって、終盤戦に入ってRB16は着実にメルセデスAMGとのギャップを縮めてきていたのだ。

◆レースクイーン中村比菜・太田麻美・原あゆみ・藤本真由・武田美憂の厳選フォト【50枚】>>

 クリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「マシン改良を進め、ここ数戦で少しずつメルセデスAMGに近づいて来ていたことは確かだ。シーズン終盤の3分の1は大きな進歩を果たした。バーレーンGPでも先週のサヒールGPでも、マシンは非常に速かった。何が問題だったのかを我々は理解しているし、来季型マシンではその問題が対策されていることを期待している」

 その結果、最終戦アブダビGPではメルセデスAMGを上回った。2014年のパワーユニット規定導入からレッドブルが苦手とし、メルセデスAMGが勝ち続けてきたこのサーキットで彼らを上回ったのだ。

 もちろん、これはメルセデスAMGがMGU-Kに不安を抱えるなかでの結果でしかなく、これで完全にメルセデスAMGを凌駕したとは言えない。しかし、その過程にあることは確かだ。

「開幕戦からシーズン中盤戦に入るまでの(大きな差をつけられた)状況があり、シーズン中盤で一歩近づいて、そしてシーズン終盤に来てまた一歩近づき、昨日・今日はちょっと前に出たという結果で終わりました。だが、それがすべてではありません。メルセデスAMGを追い越す勢いで必死に開発していかないと、"追い越せ"にはまだまだ到達できないと思っています」

 田辺テクニカルディレクターはそう言って兜の緒を締め直す。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る