MotoGP最終戦は予測不能のシーズンを象徴する展開。スズキは三冠を逃す

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 土曜の予選を終えた段階で、モルビデッリがフロントロー2番手を獲得したことに対して、リンスは4列目10番グリッド。このスタート位置関係なら、一見したところ、モルビデッリが有利に見える。だが、スズキはレース中盤から後半の追い上げを得意としている。リンス自身も、カタルーニャGPでは13番スタートから3位表彰台に上り、アラゴンGPでは10番手スタートから優勝も達成している。しかも、リンスがランキング2位で終われば、スズキはミルとリンスで年間ランキングの1ー2を飾ることができる。

 だからこそ、リンスとしては、なんとしてもモルビデッリよりも上位でレースを終えたいところだった。が、結果はモルビデッリが3位でゴール。リンスは15位で終えてしまったため、ランキング2位はモルビデッリの手に渡り、リンスは年間3位で一年を終えることになった。

 また、リンスのこのリザルトにより、スズキはもうひとつの重要な結果を取り逃すことにもなった。

 上記のとおり、スズキは前戦バレンシアGPでミルが年間チャンピオンを確定させ、さらにその前にチームタイトルも手中に収めていた。残るコンストラクターズタイトルは、バレンシアGP終了段階でスズキとドゥカティが同点で並び、その2メーカーをヤマハが13点差で追いかけていた。ドゥカティとスズキのこの争いは、最終戦を上位で終えたメーカーが勝利することになる。

 20年ぶりにライダーズタイトルを獲得したスズキが、はたしてその勢いを駆って史上初の三冠を達成するのかどうか。それが、今回のレースの大きな見どころのひとつでもあった。結果は、ジャック・ミラー(プラマック・レーシング/ドゥカティ)がレースを2位で終えたことにより、この部門の栄冠はドゥカティの手に渡ることになった。

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