角田裕毅、F1マシン初ドライブ。F2マシンとの違いで驚いた点は? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 レースを想定した13周の連続走行では、エンジニアからステアリング上のボタン操作によるモード変更の指示をコーナーごとに受けながら、なおかつ安定したハイペースを保って走ることもできるようになった。そして最後には新品のタイヤを2セット使い、タイムアタックも行なった。

 アルファタウリのピエール・ガスリーとダニール・クビアトが6月にこのマシンとデモ用タイヤで走行した際のデータや映像と見比べても、角田のほうが速いコーナーも少なくなかったという。セッティングも違えば気温・路面温度や風向きも違ったとはいえ、1周のなかで勝ったり負けたりが出るということは、ほぼ同じレベルで走っていたことになる。

「走行後のタイムも結構近かったので、比較しながらデータを見ましたね。最初は自分の感性で走ってみて、ある程度タイムが出てきたらデータを比べて、どこがどういうふうに足りていないかを確認しながら走っていました」

 まだマシンを手足のように、自由自在に操ることができるレベルには達していないという。だが、難しいコンディションのなかで300kmを走破するという必須条件をクリアしなければならない状況のなか、十分すぎる適応能力を見せた。

「僕が思っている『乗りこなせる』というレベルには全然行ってないし、まだ思いどおりに走れていないですね。それでも、最後のレースシミュレーションではコンスタントなタイムを刻めましたし、おそらく速いと言えるくらいのタイムだと思います。

 予選パフォーマンスではまだまだ乗りこなせていない。でも、毎周だんだん積み重ねていって、どう走れば速くなるかを理解しながら段階を追っていけたので、100%に近いくらい満足しています」

 テストの2日後に電話をかけてきたヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツアドバイザー)からも、テストの話は一切なく、今後に向けた話ばかりだったという。当然チームから報告を受けているわけで、テストについて言及がなかったのは"合格"ということだ。

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