角田裕毅、F1マシン初ドライブ。F2マシンとの違いで驚いた点は? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 そもそも、今季参戦しているFIA F2選手権でランキング4位以上になれば、FP1出走による1ポイント獲得という"保険"すら必要なくスーパーライセンス規定を満たし、F1昇格が可能になる。だから角田にとっては、F2の残る2ラウンドこそが最重要であり、いわば保険のためのテストは彼にとって大きなことではなかった。

「もちろん、F1をテストできたのはうれしかったんですけど、今年は最初からF2がメインと考えていたので、F1のテストもステップを踏んだというよりは一種のイベントとして考えていた。そこまで噛み締めることもなく、翌日はもうF2のことに頭を切り替えて、いつものレース後の月曜と変わらず過ごしていましたね」

 それでも、翌日には首の筋肉痛を覚えた。F1マシンのパフォーマンスはF2マシンのそれと比べてもすさまじく、とくに加速と減速の強烈さには驚いたという。

「当日は軽く疲れた程度でそこまで大きな疲労は感じなかったんですけど、翌日はやっぱり筋肉痛がありましたね。ブレーキング時に使う首の後ろ側に筋肉痛を感じました。

 アウトラップで想像以上にすごいのはわかっていたので、(本格走行が始まる)2周目の最初のブレーキングでは首が前に持って行かれないよう意識をしてブレーキを踏んだんですけど、それでも完全に首が持って行かれましたから。加速も減速も、ウエットコンディションでもすでにF2のドライコンディションよりすごかった」

 ダウンフォース量が豊富なF1マシンは、速度が上がれば上がるほど挙動が安定し、中高速コーナーはレールの上を走っているようだったという。横Gのすごさも実感した。それでも、今季の最初からF1を想定したトレーニングを重ねてきたからこそ、テストセッションの最後まで疲労困憊で走れなくなることはなかった。

 高速のピラテラやアクアミネラリは午後の最後もまだ少し濡れていたため80〜90%程度のマージンを残して走ったという。だが、それ以外のエリアでは縁石までしっかりと攻めてみたり、スロットルをガツンと踏んでマシンの向きを変えたり、限界を探りながら走っていった。

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