「女には無理」と言われた悔しさをエネルギーに。粟野如月は最高峰を目指す (2ページ目)

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto) 磯貝琢哉●動画 video by Isogai Takuya

当初はレースへ通い詰めるファンだったという粟野当初はレースへ通い詰めるファンだったという粟野 専門学校に通いながらも、国内のレースをいろいろと見ていると、クルマ関係の仕事として、レースクイーンというポジションがあると気がつきました。歌手への思いが揺らいでいた時期だったこともあり、思い切ってレースクイーンのオーディションを受けてみたら、運よく採用してもらえました。

 私はそれ以前、F1を頂点としたフォーミュラカーのレースだけがモータースポーツだと思っていました。しかし、レースクイーンとしてさまざまなカテゴリーを見ることになって、日本にはスーパーGTやD1グランプリのように市販車ベースのマシン、いわゆる「箱車」を使ったモータースポーツがあることを知りました。

 特にドリフトで使用されているトヨタのチェイサーツアラーや日産のシルビアなどは当時、街中をよく走っていました。普通のクルマを使った競技があることに衝撃を受け、興味を持ちました。D1グランプリを生で見る機会もあり、面白いと思いました。派手なカラーリングとステッカーをいっぱい貼ったマシンが、タイヤからスモークをモクモクと出して、ドリフトを決める姿が純粋にカッコよかったんです!

 ドリフトを好きになり過ぎて、ファンとしてD1グランプリを1年間、選手と同じスケジュールで追いかけていた時期もあります。いわゆる「追っかけ」ですね(笑)。私が全国の至るところに出没するので、ドライバーの方とだんだん顔見知りになり、話をするようになっていきました。ドライバーの方は、私が当然ドリフト競技をしているんだろうと思い込んでいたようで、「愛車は何なの?」と聞いてきました。

 その時の私は自分のクルマを持っていなくて、イベント会場へはレンタカーで行っていました。そのように答えたら、「そんなにドリフトが好きならやってみれば? (F1などの)フォーミュラカーと違って、免許さえがあればドリフトのマシンには乗れるよ」と軽い感じで言われたんです。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る