ホンダF1、最後の挑戦。メルセデスAMGのひとり勝ちはもう許さない (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

「あまりいい予選ではなくて、ちょっと散らかったセッションだったね。Q2の2本目のアタックをミディアムで走らなければならなかったから、Q3に向けたリファレンスがしっかりと掴めなかったんだ。

 Q3最後のアタックも結局最後までリズムは掴みきれず、フィーリングとしては限界を引き出せたという感じでもなかった。個人的にはもう少しメルセデスAMG勢に近づけるかと思っていたし、もう少し戦えると思っていたんだけどね」

 逆に言えば、それだけマシンの仕上がりがよかったということでもある。0.567秒というメルセデスAMGとのギャップは、実際にはもっと小さかったということだ。

 決勝でも、その速さは十分に発揮された。

 スタートでルイス・ハミルトンの前に出ると、首位バルテリ・ボッタスに引き離されることなくついていった。後ろの中団グループではなく、メルセデスAMG勢のペースや動向を気にしながらレースをするのは久しぶりのことだ。彼らに対抗するために、パワーユニットのモード変更(ERSの発電と放電に関するもの)もいつも以上に頻繁に行なわれていた。

 しかし、2対1の戦いには限界もある。18周目に先にピットインしてアンダーカットを仕掛けるが、ボッタスには翌周ピットインされてきっちりと前を抑え込まれ、30周目まで走り続けたハミルトンにはオーバーカットを許して逆転されてしまった。

 その背景には、ボッタスが他車のパーツを左側フロアに拾って大幅にダウンフォースを失っていたことがあった。ペースが振るわないボッタスに抑え込まれ、その間にハイペースで飛ばしたハミルトンに前に行かれた。

 もしボッタスが問題を抱えていると知っていたら、レッドブルはピットストップを遅らせただろう。だが、ピットストップを終えるまでそのことをボッタスにすら知らせなかったメルセデスAMGは、1枚も2枚も上手だった。

 それでも、フェルスタッペンは手負いのボッタスにプレッシャーをかけてミスを誘い、42周目の最終コーナーで訪れたチャンスを見逃さず、一撃で仕留めた。

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