レースクイーンがラリードライバーに転身。世界最高峰のWRC出場へ前進 (3ページ目)

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto) 磯貝琢哉●動画 video by Isogai Takuya

ーー「たまたま」が続いて、モータースポーツの道へ進むことになったんですね? 

いとう
 そうですね。あと、カートに乗った時にチームの方が「初めてのわりには速いね」って褒めてくれました。それで「レーサーもイケるのかな」と思っちゃったんです。すぐ調子に乗ってしまう性格なんです(笑)。その後、レーシングカートのレースに何戦か出たのですが、気持ちよくて、もっと速いクルマに乗りたいという思いがどんどん強くなってきました。

ーーそれまでモータースポーツやクルマとの接点はあったのですか?

いとう
 それがまったくなかったんです。学生時代を振り返っても中学は美術部、高校は軽音楽部で、スポーツとは縁がありませんでした。高校卒業後に一応マニュアル車の運転免許を取得しましたが、ずっとペーパ−ドライバーでした。でもレースをやりたいと思った時にライセンスが必要だって話になったのですが、当然、マニュアル車に乗っても発進ができない(笑)。そこからのスタートでした。 

 当初はサーキットのレースに出場したかったのですが、ライセンスを取る際に手伝ってくれた人が、ラリー関連のショップの方だったんです。その方が「ラリーをやれば、サーキットなんか簡単だよ」とアドバイスをくれたので、「じゃあ、ラリーをやってみよう!」と軽いノリで決めました。でも、その時はラリーのことはまったく知りませんでしたね(笑)。 

ーー実際にラリーカーを走らせてみて、どんな印象でしたか? 

いとう 峠や山道を走ってみて、すごく面白いと思いました。ただ、ラリーは助手席に座ってコースをナビゲートするコドライバーとペアを組んで戦いますが、最初はコースの状況などを記したペースノート作りが意味不明でした。

 目の前のコーナーを単に思い切り走ればいいんじゃないの、と思っていましたが、ラリーの経験を重ねるうちに、サーキットを周回するレースとは全然違うことがわかってきました。ラリーは主に封鎖された公道を走りますが、すべてのコーナーや路面状況などを覚えることはできないので、ペースノートの情報がないと速く走れません。今では勉強をして、ペースノートも自分で作れるようになりました。

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