アイルトン・セナの事故から26年。ホンダF1はイモラで奇跡を起こせるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 そして、土曜と日曜の2日間のみでグランプリが開催されるのも初めてのことだ。

 ほぼデータのないイモラで、たった90分間のフリー走行1回のみ。その2時間半後には予選が行なわれる。

 事前のシミュレーションに限られた時間のなかでの実走行データを組み合わせ、2時間半のインターバルの間に予選・決勝に向けたセットアップを完成させる。車体もパワーユニットも、予選までにセットアップを決めなければならないのだ。

 現行パワーユニットで初開催だった第11戦ニュルブルクリンクでも、金曜のセッションが霧で中止になったため、これとほぼ同じ条件で予選・決勝が行なわれた。その経験があるだけに、どのチームも極端な懸念は持っていない。そのくらい今のF1チームのシミュレーション技術は進歩している。

「どのチームもそれぞれ非常にうまくシミュレーターで準備してきていると思う。どこが自分たちの弱点かをわかっていれば、そこをシミュレーターで重点的に改善してタイムを縮める努力をし、そこに割く時間もどんどん増える。だから、どこかのチームがとくにアドバンテージを持っていることはないだろう。フリー走行が1時間半だけになろうと、最強のチームはやはり同じところにいる」(フェルスタッペン)

 イモラは鈴鹿サーキットに似たコース特性で、アップダウンとともに中高速コーナーの切り返しが次々と現われる。縁石をカットするように乗り越えて、クルマの向きを変えていかなければならない。

 その縁石をうまく使うことのできるマシンに仕上げることが重要だと、フェルスタッペンは語る。

「ものすごく狭いし、かなり縁石を使って走っていかなければならないから、ストレートでのトップスピードと縁石をヒットさせながらコーナリングしていく速さの最適な妥協点を見つけ出す作業がとても重要になる。フリー走行が1回しかないからマシンのセットアップは簡単ではないだろうけど、そのおかげで面白い展開になるかもしれない。とくにエンジニアたちにとってはそうだろうね(笑)」

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