MotoGPヤマハから漢カワサキへ移籍。中野真矢の腹の据わった走り (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 このレースウィークは、予選終了間際まで熾烈なポールポジション争いを続け、僅差の2番グリッドになった。決勝レースでも、ずっと単独で3番手を走行し続けた。最後は、前の選手が転倒したために、2番手に繰り上がってゴール。

 優勝選手は、この年の最終戦でチャンピオンを獲るホンダのニッキー・ヘイデン。3位には、将来を嘱望され神童の呼び声高い、ダニ・ペドロサ。表彰式でホンダファクトリーの選手2名に挟まれながら、「表彰台圏内でずっと戦って最後に2位を獲れたのだから、優勝ではないとはいえ、自分とカワサキに何かを残すことができた」と感じたという。

 翌07年は、濃密な3年間を過ごしたカワサキを去ってホンダ陣営のコニカミノルタ・ホンダへ移籍した。結果的には、このシーズンは思いどおりの成績を残せず、「何もかもがうまくいかなくて、カワサキで築いてきた自信がすべてなくなった」という一年になった。

 だが、さらにもう一年、ホンダ陣営のあるチームで戦うチャンスを与えられた。チームの名称は、サンカルロ・ホンダ・グレシーニ。そう、かつてのライバル、加藤大治郎が在籍していたグレシーニ・レーシングだ。

「チームのワークショップに行っても大治郎さんの写真がそこら中にいっぱい貼ってあって、今も皆に愛されていることがよくわかりました。監督のグレシーニさん以下、スタッフの方々は、かつてのライバルだった僕にとてもよくしてくださって、非常にいい緊張感でそのシーズンを戦うことができました」

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