レッドブル・ホンダの敗因を検証。ハミルトンの圧倒的強さが際立つ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 しかし、土曜午前のフリー走行3回目で多くのチームが予選アタックの練習をするなか、メルセデスAMGは燃料をフルタンクにしてソフトタイヤの傾向をチェックし、決勝を戦うにはあまりに耐久性がなさ過ぎることを把握していた。だから彼らは、予選Q2をミディアムで通過し、さらにはそのフィーリングを信じてQ3でもソフトよりミディアムのほうが速く走れることを見抜いていた。

 決勝は雲が多くて路面温度が上がらず、小雨さえパラつくなかでのスタート直後は苦戦することも、メルセデスAMGは想定の範囲内だった。

 一時はソフトタイヤのマクラーレンにトップを奪われたが、タイヤに熱が入り安定すれば本来の速さで瞬く間に逆転。フェルスタッペンのソフトタイヤはメルセデスAMGの予想どおりグレイニング(表面がささくれ立つ状態)が悪化し、23周目にピットインするまでに15秒の差をつけられてしまった。

「僕の左フロントタイヤはあっという間に終わってしまった。グレイニングがひどくて、ピットインを余儀なくされたんだ。ミディアムに換えてからはペースも悪くなく問題なかったけど、その時にはすでにメルセデスAMGとのギャップは大きくなってしまっていて、どうすることもできなかったね」

 メルセデスAMG勢は40周目まで引っ張って余裕のピットイン。首位ルイス・ハミルトンとフェルスタッペンの差は20秒に広がってしまっていた。

「今日はタイヤがちょっとした魔法のような状態だった。ソフトタイヤはうまく機能させるのが難しく、今日の最良のタイヤはミディアムだった。もう一度予選からやり直せるなら、我々も決勝をミディアムでスタートする戦略を選んでいただろう」

 ミディアムタイヤが正解だったと、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はそう振り返った。終わってからでなら、何とでも言える。

 しかし、メルセデスAMGは限られた走行時間のなかでしっかりとデータを収集し、タイヤ選択と予選・レース戦略、マシンセットアップを仕上げていた。マシンパッケージの性能以前に、レース週末全体の運営面でレッドブルは負けてしまっていたのだ。

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