スズキかヤマハかホンダか?MotoGPチャンピオン争いがさらにカオスに

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 レースが終わってしばらく時間が経過した後、中上は転倒までの一部始終を振り返った。

「1コーナーから4コーナーまで、(内側からオーバーテイクされないように)イン側を閉めるようにしていました。4コーナーで少しイン側につきすぎてしまい、5コーナーのブレーキで本当にごく少しだけ、アウト側になりました。その瞬間に自分自身の気持ちをコントロールできず、そこのブレーキ入力がシャープになり過ぎてしまいました。それでフロントが切れこんで、転んでしまった。本当におろかなミスで、スピードもブレーキングも、自分の気持ちもコントロールできなかった。それに尽きます」

 そういって、寂しそうな笑みを見せた。今回の決勝前にはチャンピオン争いの可能性が取り沙汰されることもあったが、転倒ノーポイントで終わったことにより、その可能性は一気に遠ざかった。

「今回は自分の気持ちをマネージできなかったけれども、これをコントロールできれば、今後は何戦も勝てるライダーになれると思います。残り3戦はチャンピオン争いを気にすることなく、『勝てればうれしい』というくらいの気持ちでレースを楽しめます」

 このように、第12戦のリザルトは明と暗のコントラストが際だつ結果になった。チャンピオン争いの面でも、明と暗ははっきりと分かれた。

 ランキング首位のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は今回も3位を獲得し、今季5回目の表彰台。ランク2位のクアルタラロは8位でチェッカー。今シーズンは3勝を挙げているとはいえ、優勝と不調の差があまりに激しく、今回もそのムラがもろに露呈した格好だ。3位のミルは16点を加算し、8位のクアルタラロは8点獲得にとどまったため、ふたりのポイント差はさらに広がって14点になった。

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