次の日本人F1ドライバー候補。
角田裕毅はレッドブル重鎮のイチ推し

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 小学校までインターナショナルスクールに通っていたということもあってか、考え方は非常にオープンで、日本の既成概念に囚われない。英語も一度は忘れてしまったというが、レッドブルジュニアに選ばれて想定どおりにFIA F3に参戦を開始すると、すぐ饒舌にしゃべられるところまで取り戻した。

 FIA F3ではチーム力の劣る環境下でも、徐々にチームを押し上げてモンツァでは勝利を掴み獲った。そして、FIA F2にステップアップした今季は開幕戦からトップ争いを繰り広げて、速さだけでなく強さも見せている。

「不安があるとしたら、レースペースですね。F2マシンもまだ習熟というところまではいっていませんし、ピレリタイヤのタイヤマネジメントもまだ掴み切れていないところがあるので、そこはあまり油断せずに臨みたいなと思っています。

 ピットストップとかいろんなことが自分にとっては新しいことですし、40周も走るレースも今まで経験したことがないので、何が起こるかわかりません。だから、そこは不安点として持っておいたほうがいいかなとは思っています」

 FIA F2で最も難しいと言われるピレリタイヤのマネジメントに苦労しながら、攻めているつもりでもレースを走り終わってタイヤが残っていることも少なくなかった。モンツァではトラブルもあって結果は大崩れとなったが、結果が望めないレースをしっかりとテストと割り切って走り、そこから得た答えを実践したムジェロではタイヤマネジメントを掴みきった。

 レース中の接触も時折見せるが、コントロールを失ってぶつかるのではなく、あくまで攻めたバトルのなかでの接触が多い。そのアグレッシブさも小林可夢偉と同じで、F1を初めとしたヨーロッパで戦うためには欠かすことのできないものだ。

 新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れた今年、開幕前の6月にはシルバーストンで旧F3マシンをマクラーレンのカルロス・サインツやランド・ノリスらと走らせ、彼らを上回る走りを見せた。

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