ホンダF1撤退発表の余波。フェルスタッペン、ガスリーの思いは (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 彼らはひとつの目標があれば、それを達成するまで全力で努力する人たちなんだ。この数年間でのホンダの成長は目を見張るものがあったし、勝利を収めるまでになって、輝かしい未来が見えていた。だから、この報せはとても悲しい」

 2018年のトロロッソからホンダの進歩を肌で感じてきたガスリーだからこそ、残された時間でホンダが掴み取るべき結果もはっきりと見据えている。

「でもまだ、ともに戦うレースは残されている。僕らは自分たちの力を最大限に引き出すことに集中し、来年の終わりまでに彼らとともにすばらしい結果を手にできると確信しているよ。そして彼らが去る前に、タイトルを獲得してくれることを願っている」

 カーボンニュートラル実現のため、かねてからホンダは青山本社で議論を続けていた。F1に関して非常に厳しい判断を下さなければならないかもしれないため、当初からなるべく現場スタッフを入れないで議論しようという方針で進んでいたという。レッドブルには本社から8月に撤退の意向を伝え、FIAやFOMには発表の前日に通達していた。それだけ、撤退の意思は固かったということだ。

 それでもレッドブル側には、2022年以降について「彼らが困らないように真摯に相談に乗り、要望に対して協力する」という姿勢を見せている。レッドブル側から打診があればパワーユニットの知的財産権の譲渡について話し合う可能性もあると、山本雅史マネージングディレクターは語っている。

 一方で、現場の技術サイドを統括する田辺テクニカルディレクターは、第2期、第3期に続いて3度目のF1撤退を経験することになる。

 そのつらさも認めながらも、残るレースに対するアプローチはこれまでと何ら変わりはないと、田辺テクニカルディレクターらしく語った。

「自分が全力投球してきたプロジェクトが終わりだよ、と言われるのは当然つらい経験です。そういう意味では、第2期や第3期の時と変わりはありません。当然、レッドブルファミリーの2チームとは非常にいい関係を築きながらやっていますから、(報せを受けた瞬間は)メンバーひとりひとりやドライバーたちの顔が浮かびました。

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