レッドブル・ホンダとメルセデスの差。4つの「まだ」を減らせるか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 でも、ピットインしてハードタイヤに交換してからは、マシンバランスが少しよくなった。第2スティントはかなりよかったので、2位にはものすごく満足しているよ」

◆「悲願の初優勝。ガスリーが表彰台の中央で亡き友に捧げる」はこちら>>

 ミディアムタイヤでのスタートと、ハミルトンのペナルティ。その両方で得た2位表彰台だったが、フェルスタッペンには「ストレートで0.6秒負けているが、それ以外は同等かそれ以上だ」という無線が飛んでいた。

 これは、ダウンフォースをつける方向にセッティングを振ったことが影響している。速く走るためにはコーナーを安定させなければならず、ストレート車速を犠牲にせざるを得なかったからだ。

「パッケージとしてダウンフォースをつけないとラップタイムが出ない、タイヤが保たない等々ありますから、結果としてそういう状態になっています。ただ、だからといってパワーが勝っているとか同等だとか負けているとかいう話ではありません。

 パワーユニットとして何ができるかといえば、今持っている最高のパフォーマンスを現場で発揮すること、将来に向けてパフォーマンスを上げていくことが我々の仕事だと思っています」(ホンダ・田辺テクニカルディレクター)

 ストレート車速で差をつけられたのは、メルセデスAMGのパワーユニットがエネルギー回生に優れている点も理由にありそうだ。

 事前にバッテリーをフルチャージしてから臨める予選では差が出なくても、連続周回をする決勝では発電と放出のバランスを取りながらの走行となる。そのため、規定の1周あたり4MJ(※)をフルに使うことは難しい。

※MJ=メガジュール。放電は1周あたり4MJまで可能だが、充電は1周あたり2MJまでと規定されているため、4MJを使うためには事前に「充電ラップ」が必要となる)。

 となると、規制のないMGU-H(※)からの発電・放出量がモノを言う。今年のメルセデスAMGは決勝でライバルメーカーよりもディプロイメントの切れる時間が短く、それはこのMGU-Hからの発電量が優れていると推測される。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る