ハミルトンの圧倒的強さを中野信治が分析。レース以外の要因に注目 (3ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ボッタスを物足りないと感じる人がいるかもしれませんが、彼だってすごく成長しています。メルセデスに加入した後、一皮も二皮もむけて速くなっています。でもボッタスが成長すると、さらにハミルトンが強くなっていき、ふたりの差が縮まっていかない。

 ハミルトンにとってボッタスは戦いやすい相手ですし、メルセデスとしてもふたりの成績に明確な差があったほうがまとめやすい。しかも、ボッタスは決して遅いドライバーではないので、シーズン中に何度か勝って、ハミルトンがサボらないように常にプレッシャーをかけてくれます。ナンバー2としての仕事を完璧にこなしてくれますので、メルセデスにとっては最高のドライバーの組み合わせだと思います。

 ハミルトンは今シーズン中に間違いなくシューマッハの最多勝記録に追いつき、追い抜くでしょう。ふたりに共通しているのは、シンプルに言うと、負けず嫌いなところ。当たり前だと思うかもしれませんが、「負けず嫌い」という言葉の裏には、負けないためのドライバーのさまざまな努力があります。

 普通のドライバーは「チームがいいクルマをつくってくれたらいいな。自分には優秀なエンジニアがついたらいいな」と思って、待っている。そうじゃなくて自らつかみとるために常に行動しているのがハミルトンであり、かつてのシューマッハです。

 彼らは絶対に負けたくないから、人がやってないことに挑戦したり、取り入れたり、行動したりするんです。結局、いかにハングリーでいられるかどうか。「俺はすごいんだ」と思っているドライバーは、それ以上のことはしませんから、成長していきません。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る