ハミルトンの圧倒的強さを中野信治が分析。レース以外の要因に注目 (2ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ハミルトンの行動や言動を見ていると、周りのスタッフやファンを自分の味方につけることの重要さを、特にこの4、5年ぐらいの間にすごく学び、身につけているように見えます。応援してくれる仲間が増えると、自分の周りにいいマシンやエンジニアなどが集まってくるんです。

 また、近年のハミルトンには自分自身のメンタルをコントロールする能力が備わってきました。過去のハミルトンは速い時は速いですが、精神的に乱れる時にはレースも大きく乱れることがありました。  でも、ここ数年間はかつてに比べると、乱れた時の振り幅がかなり小さくなり、ライバルがつけいるスキがなくなってきました。そこが強さの最大の要因になっていると思います。 

ハミルトンのメンタル面の強さについて説明する中野信治氏(photo by Sportiva)ハミルトンのメンタル面の強さについて説明する中野信治氏(photo by Sportiva) 年間20戦もあれば、良い時も悪い時もあります。マシンの状況はもちろんですが、運や流れがどうしても悪くなってしまうことがあります。そうした状況下でも自分のベストをどうやって引き出せるのかというテクニックを、彼は完全に学んでいますね。

 その契機は、2016年、当時チームメイトだったニコ・ロズベルグとのチャンピオン争いに負けたことだと思います。そこから彼の言動や行動など、すべてが変化していきました。

 繰り返しになりますが、ハミルトンとボッタスには運転技術やセットアップ能力の差はほとんどないと思います。そうじゃないメンタル部分での大きな成長がハミルトンの中にあって、それがレースの結果として表面に出てきているんです。

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