レッドブルとホンダが一致団結。
トラブルを乗り越え「雨降って地固まる」
もちろん、ホンダがトラブルを起こしたことは揺るぎない事実であり、フェルスタッペンの厳しい言葉はパワーユニットそのものやホンダに向けてのものではなく、トラブルを出したことに対するフラストレーションであることも十分に理解している。
「大変申し訳ないと思うし、あの状況でああいうことが起きれば、ドライバーにああいうふうに言われるのは当然やむなしだと捉えています。(トラブルを出した以上)何を言われてもしょうがないです」
何度も繰り返される放送禁止用語を、田辺テクニカルディレクターはそんな思いで聞いていた。
しかし、レッドブルとホンダはトラブルの究明に一致団結していたという。
「レッドブルの技術陣からは『すべてにおいて協力するから何でも言ってくれ』と言ってもらいました。何が起きた、何をしている、進捗はこうだ、ということをホンダから伝えていますし、レース直後の月曜日からともに解決しようという姿勢です。『お前ら何やってるんだ』という非難は一切受けませんでした」
HRD Sakuraでは徹底的な分析が行なわれ、複雑に絡み合ったひとつひとつの要素すべてに対して対策を施し、問題の再発がないよう徹底したデータを持ち込んできた。安全予防策として車体側に依頼した変更もあったという。
ある意味では、雨降って地固まるとでもいうべく、このトラブルを乗り越えることでホンダとレッドブルの絆はさらに強まったのかもしれない。少なくとも、レッドブルが以前ルノーとの間で抱えていたような険悪な雰囲気とはまったくの無縁だ。
F1はシーズン開幕から11週間で9戦、3度の3連戦を経て、今季初のフライアウェー戦となるロシアにやって来た。第10戦ロシアGPはストレートが長く、レッドブルにとっては過去にいい経験がほとんどないサーキットだ。
問題は、ストレートの長さもさることながら、コーナーが90度コーナーばかりという点だろう。レッドブルの得意なコーナリング性能でタイムを稼ぐことのできる幅が小さくなるからだ。
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