大混戦MotoGPはシーズン折り返し。「土曜に速いライダー」が汚名返上 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 その点に関していえば、今年のビニャーレスは、予選で驚異的なスピードを発揮しても日曜の決勝でずるずると順位を下げることが多く、「土曜日に速いライダー」というあまりうれしくない呼称も得ていた。だが、今回の優勝でその汚名をみごとに返上した格好だ。

「今回の決勝レースでは、燃料が満タン状態の序盤からうまく走れるセットアップがみつかった」と話し、「このセットアップの変更で、ブレーキングの際にもタイトなラインでコーナーへ入っていけるようになった」と、決勝レースでも速さを発揮できた理由を説明した。

 しかし、その反面では「(もしもバニャイアが転倒していなければ)レース終盤に追いつくことはできたと思うけれども、追い抜くことまでできたかどうかはわからない」とも述べて、バニャイアの圧倒的なスピードを正直に認めてもいる。

 そしてこの結果により、シーズンの推移を示す20年の年間ランキングもじつに「クレイジー」な様相を呈している。

 現在、首位に立っているのは84ポイントのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)。2位はクアルタラロで83ポイント。3番手のビニャーレスも83ポイント。優勝回数の差で、クアルタラロが上位に来ている。4番手は、今回のレースで2位に入ったジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が80ポイントで続く。7戦を終えて、ランキング首位が、わずか84点ということがそもそも奇妙だし、首位から4点以内に4名がひしめく状態も、そう滅多に見られる光景ではない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る