レッドブル・ホンダの見立てを覆す走り。アルボンはスタッフからの信頼も厚い (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 スタートを切ったアルボンは、なんとかレーシングポイントのセルジオ・ペレスを抑えて4位をキープ。そして50周目のターン1で、アウト側から大外刈りでリカルドをパスした。

 これまで2度、アルボンは昨年のブラジルGPと今年の開幕戦オーストリアGPで、目前の表彰台を接触によって逃してきた。だが、今回はしっかりとオーバーテイクを決めた。最終コーナーとストレート前半のセクター3が速い自分たちの利点を生かした、冷静なオーバーテイクだった。

「ルノーはストレート車速が速いから簡単には捕まえられなかったけど、僕らのクルマはブレーキングが強かったので、(リカルドのタイヤがタレるのを待って)最後にターン1でアウト側に飛び込んだ。僕らのクルマは最終コーナーが速かったから、オーバーテイクポイントはターン1しかなかった」

 追い抜きは容易ではないとチームでも見ていたが、前戦モンツァとは違って今回はダウンフォースを削り気味にセットアップしていた。それも功を奏した。

「ここまで来たら表彰台を獲ってくれ、という気持ちで見ていました。長丁場のレースのなか、タイヤのコンディションも含めてチームパッケージとしてパワー負けしなかった」(田辺テクニカルディレクター)

 アルボンのドライビングが安定感を増してきたのと同時に、アルボンのドライビングスタイルのフィット感を向上させる作業も急ピッチで進められてきたという。レースエンジニアも経験豊富なサイモン・レニーに代えて、アルボンの感覚をより正確にマシン作りにつなげるよう努力している。

 マシンに問題を抱えるなかで奮闘するアルボンを、クリスチャン・ホーナー代表は高く評価した。

「彼のフィードバックは非常に素晴らしいし、マシンを感じ取る繊細さも非常に優れている。エンジニアからの尊敬もしっかりと勝ち取っているので、今後はそういったことが彼にとって追い風になると思う」

 今回の3位は、フェルスタッペンがリタイアしたために空いた座とも言える。予選でもフェルスタッペンに対してまだ0.45秒の差があり、完璧に状況を打破できたわけではない。

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