次の日本人F1ドライバー誕生はいつ?
夢をあきらめない松下信治の挑戦

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 そういう信念を貫くところは、小林可夢偉に似ている。そうでなければ、F1という世界で戦っていくことはできない。

 今シーズン、ホンダの育成ドライバーとしてFIA F3からステップアップした角田裕毅は、シルバーストンのレース2で優勝するなど表彰台3回の活躍を見せており、こちらもF1へのステップアップを目指している。

 その一方で、松下はランキング4位以内に入ってスーパーライセンス取得条件をクリアし、F1への夢をつなごうとしている。そこには何の保証もないが、挑戦しなければ道は開けない。

「スーパーライセンスを取得したとしても、2021年にF1に乗れる可能性がどれだけあるかは正直わかりません。だけど、自分にできることは結果を出すことがすべて。結果を出せなきゃ候補にすらなれない。

 候補になってもシートが空いていなければF1には行けないけど、それは自分の力でどうにかできることではないから、考えても仕方がない。だからF2で結果を出すことに100%集中していますし、あきらめていません」

 松下のレーシングスーツには、腰の下まで無数のスポンサーロゴが貼られている。それだけ多くの人や企業が松下の思いに賛同し、支援してくれていることの証だ。

 バルセロナでようやく光明を掴んだ松下は感慨深そうに語った。

「本当に苦しかったけど、あきらめて投げ出さなくてよかった。いい時はいい風が吹くし、悪い時は悪い風が吹く。その時は耐えるしかない。シーズンはまだ半分なんで、まだトップ4の可能性はある。

 最低でもトップ4はゲットしたい。応援してくれている人たちと約束しましたから。賛同してくれている人がたくさんいるので、それに応えたいだけです」

 FIA F2の2020年シーズンは6ラウンド12戦が終わったが、まだ折り返し地点にも到達していない。12月の最終戦アブダビまで、松下の挑戦は続く。

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