レッドブル・ホンダ、インディ500優勝に刺激。
劣勢も最適な妥協点を探る

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

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 今週末のベルギーGPには、昨年よりも1ステップ柔らかいタイヤが持ち込まれており、これはメルセデスAMGがタイヤに苦しみレッドブルが勝利した70周年記念GPと同じ。C2〜C4というタイヤアロケーションまで同じだ。

 ただし70周年記念GPとは違い、ピレリの指定する最低内圧は少し上げられただけで、あまり変化はない。またメルセデスAMG勢がブリスターに苦しむのを期待するのは難しいかもしれない。

 それでもタイヤに大きな負荷がかかるスパ・フランコルシャンで柔らかいコンパウンドをうまく使いこなせるかどうかは、重要なカギになるはずだ。

 さらには雨の予報もある。スパと言えば不安定な天候であり、これにいかに対処するかが予選やレースを大きく左右することも少なくない。

 当然、雨が降ればパワー感度は下がり、パワー差によるタイム差は小さくなる。田辺テクニカルディレクターはそれに期待するつもりはないと言うが、チーム力で逆転するチャンスになることもまた事実だ。

 先週のインディアナポリス500では佐藤琢磨とホンダエンジンが優勝し、2017年までそのインディの世界で活躍していた田辺テクニカルディレクターとしても感慨深いものがあったという。

「HPDが開発したエンジンを搭載したマシンが予選から非常に好調で、トップ9台のうち8台、レースも1−2−3−4、そして佐藤琢磨選手が2度目のインディ500制覇。ここ数年インディ500では分が悪かったのですが、HPDのメンバーたちの努力が報われました。

 前回優勝した時、琢磨選手が語った『夢は叶う』という言葉を強く覚えています。またその夢に挑戦して成し遂げた琢磨選手に心からお祝いの言葉を贈りたい。夢を信じて前へ進む勇気を我々にくれたことに感謝しています」

 今のレッドブル・ホンダの実力では、メルセデスAMGを上回ることはできない。しかし、レッドブル・ホンダ自身が全力を出し切っていなければ、そのチャンスを掴むことすらできない。レーシングポイントやフェラーリなど、背後にはいくらでもチームが迫ってきている。

「タイトル争いは、まだあきらめていない」

 逆転の望みをつなぎ、そう言い続けるためには、この超高速3連戦が正念場になりそうだ。

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