レッドブル・ホンダ、0.7秒差の残酷な現実とフェルスタッペンの心の叫び (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

フェルスタッペンの2位は現状、最大限の成果だったフェルスタッペンの2位は現状、最大限の成果だった フェルスタッペンほどのドライバーがそれを忘れていたはずはない。ホーナー代表が言いたかったのは、トラフィックに引っかかったとしてもメルセデスAMG以外のマシンなら易々と抜くことができるから俺を信頼しろということ。そしてなにより、メルセデスAMG勢との差はそうやってはっきりと割り切らなければならないくらい大きかったということだ。

 予選後には「3位のサブスクリプションでも買っているみたいだね」と、フェルスタッペンはメルセデスAMG勢の後ろが定位置になっていることを冗談めかして言った。金曜ロングランのペースがメルセデスAMG勢よりもよかったこともあり、決勝に向けては望みを持っていた。

 ましてや、真夏のバルセロナは1週間前と同じように、路面温度が50度を超えようかという酷暑。メルセデスAMG勢がタイヤマネジメントに苦しんだとしても不思議ではなかった。

 だが、フタを開けてみれば、現実はまったく違った。メルセデスAMG勢に追いつくどころか、ハミルトンとの差は逆に大きく広がった。

 今のレッドブル・ホンダにとって、ボッタスを抑えて2位を獲得したのは最大限の成果であり、殊勲の結果だろう。だが、それに満足していい状況ではない。

◆「今季初勝利。フェルスタッペンが覆したF1の常識」の記事はこちら>>>

 予選で見えた0.708秒という差は、2月にバルセロナで走った時よりも大きくなっている。ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語った。

「メルセデスAMGとのギャップは依然として大きいです。2月のテストの時よりも若干開いている。0.3〜0.5秒程度も大きめかなという印象でしたが、今日は0.7秒ですからね」

 それはつまり、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れる期間、メルセデスAMGは着々と開発を進め、レッドブル・ホンダよりも大きな歩みを進めたということだ。

「F1チームは稼働日に向上シロがあり、時間が経てば経つほど進化してきます。シャットダウンの期間はあったとはいえ(それ以外の期間は)誰も休んでいませんし、開発の傾きは維持されています。ただ、メルセデスAMGのほうが我々の傾きよりも大きかったから、さらに差が開いてしまったと受け止めています」

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