レッドブル・ホンダ、0.7秒差の残酷な現実とフェルスタッペンの心の叫び (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

「第1スティントの中盤からルイスがペースを上げてきて、僕はそれについていくことができなかった。だから『今日はここでおしまいだ』って思ったんだ。そこからは自分のペースで、自分にとって最速の戦略で走ることにした。自分のレースに集中して、最大限の結果を得られるようにしようってね」

 ライバルの戦略に合わせて反応するのではなく、自分たちの最速のタイムで66周のレースを走り切ることができる戦略を採るべきだ、というのがフェルスタッペンの主張だった。

「結局のところ、他人のレースをコントロールすることなんてできないからね。僕らにコントロールできるのは、自分たちのレースだけ。だから自分たちにとって最速の戦略で戦うべきだった」

 フェルスタッペンはボッタスの前で2位をキープしたまま第2スティントを走り、最終スティントではソフトタイヤを選んだボッタスを自滅させた。

 だが、もしレッドブルがメルセデスAMG勢の動きに目を向けず、自分たちが最速でフィニッシュできる戦略で走っていたとしたら、同じ結果にはなっていなかったかもしれない。

 なぜなら、自分たちにとって理想の戦略でも、ライバルの動きやトラフィックなど、外的要因によって理想のペースで走れるとは限らないからだ。だからこそ、外的要因に目を向けてフレキシブルな戦略運営が要求されるのであり、時に最速のマシンでなくとも戦略によって勝利を掴み獲ることができる。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「ストラテジスト(戦略を立てる専門家)たちとは違って、マックスにはレースの全体像が見えていないからね。彼は競争が好きでプッシュし続けている。そのなかで、エンジニアは明確な指示をしている。それはエンジニアリングチーム全体で判断したものだ。

 我々はトラフィックの中に戻るような形でピットインしたくなかった。それによってタイヤが駄目になってしまう可能性があったからね。ミディアムタイヤがどのくらい保つのかという確証もなかった。第1スティントを短くしすぎると、レース終盤で厳しくなる可能性もあったんだ」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る