引退までの苦闘と輝き。ホルヘ・ロレンソは清々しい表情で去った

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「くだらない質問に聞こえたら申し訳ないんだけど」。前置きを入れて尋ねると、「くだらない質問なら、くだらない答えしかしないもんね」。そう言ってロレンソは悪戯っぽく笑った。

「もし、今から20年前に時間を巻き戻せるとしたら、もう一度レーサーを目指そうと思いますか?」

 そう問いかけると、彼は少し考える様子を見せ、そしてゆっくりと口を開いた。 「もしも、20年前に戻ったら......。そうだな、ぼくはやはり、ホルヘ・ロレンソになることを目指すよ」

 いつものように茶目っ気のある、清々しい表情だった。

(マルク・マルケスの回へつづく)

【profile】 ホルヘ・ロレンソ Jorge Lorenzo
1987年5月4日、スペイン・マヨルカ島パルマ・デ・マヨルカ生まれ。幼少期からミニクロスのレースに参加。2002年に競技規則の出場最年少15歳の誕生日を迎えると同時に、125ccクラスに出場し、グランプリデビューを果たす。05年に250ccクラスにステップアップし、06年、07年の2年連続で年間王者に輝いた。08年、最高峰MotoGPに参戦。10年、12年、15年にタイトルを獲得した。19年に引退。

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