引退までの苦闘と輝き。ホルヘ・ロレンソは清々しい表情で去った (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 移籍初戦の17年カタールGPは11位。第2戦アルゼンチンGPは週末を通して低位に沈み、日曜の決勝はオープニングラップで転倒。1周もしないままレースを終えた。

 第4戦のスペインGP・ヘレスサーキットでは、「ヤマハ時代にはほとんど使わなかったリアブレーキを積極的に使うようになった」と明かした。そのライディング変更なども功を奏して、レースでは移籍後初表彰台となる3位に入った。

 その後、第14戦アラゴンGPで3位、第17戦マレーシアGPで2位を獲得するが、総じて苦戦傾向の一年という感は否みがたく、年間ランキングは7位でドゥカティ初年度を終えた。

ドゥカティ時代は苦戦が続いたロレンソドゥカティ時代は苦戦が続いたロレンソ このシーズンは、思いどおりのリザルトを残せていないことについて、何度か立ち入った質問をしたことがあった。問いかけのいくつかに、やや不愉快な思いをしたのであろうことは、彼を長年取材していると微妙な表情の変化から察しがつく。そのような質問をして申し訳ないとも思うし、向こうにしても「うっとうしい質問をしやがるな」とも感じたことだろう。だが、彼はどんな質問にもいつも率直に、その時の自分の心境や状態を包み隠さず回答をした。

 この17年シーズンの最終戦でのことだ。決勝レース後の囲み取材を終えて、「今年も一年間、ありがとう」とロレンソに挨拶をした。

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