レッドブル・ホンダ、埋まらない絶対差。だが退屈レースが一変、好機はくる (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

「予選での大きな差、レースペースでも明らかに負けているなか、すべてがうまく噛み合ってチャンスが落ちてきたら必ず掴み取って結果を残すのは大切なことです。それは年間を通してみた時にも、チームのモチベーションという点でも重要ですから。

 ただし、それが自分たちの真の実力として喜べるかというと、それはまた話は別。落ちてきたものを拾えたことは喜べても、落ちてくるのを待たなければならなかったとことは、まったく喜べません」

 イギリスGP決勝はほとんど順位変動もなく、退屈なレースだった。

 メルセデスAMG勢だけが予選で1秒もの大差をつけ、決勝ではその差が縮まったとはいえ、彼らが後続のペースを見ながらタイヤを労るためにペースコントロールをしているのは明らかだった。

 フェルスタッペンは早々にメルセデスAMG勢と戦うことをあきらめて自分の走りに徹し、後方のシャルル・ルクレールとは1周1秒のペース差があったため、終始ひとり旅だった。

 チームに『水分補給は忘れていないかい?』と、普段ならレースエンジニアがドライバーに伝えるメッセージを伝えて笑わせてみたりもした。要するに、彼にとってはそのくらい、緊張感の必要とされないレースだったということだ。

「僕にとってはとても退屈なレースだったよ。レースのある時点では、前にも後ろにもマシンが見えない状態だったからね。だからレースエンジニアに『忘れずに飲み物を飲んでね』って言ったんだ。

 まだまだ僕らは進歩しなければならないけど、これが現状だ。マシンのことをいろいろと見つけていかなければならないし、ドライビングを楽しむしかないよ」

 開幕3連戦で不安定なマシン挙動に大きく苦しんだレッドブルは、1週間のインターバルの間にデータ分析を進め、シルバーストンの金曜日には様々なテストプログラムを実施した。

 その甲斐あって、RB16の挙動はハンガリーGPに比べて大きく進歩した。低速コーナーでのアンダーステアやエイペックス付近での不安定さはやや残っているものの、ハンガロリンクの入口や出口などで見られた、ところ構わず生じる唐突な挙動変化はかなり減っていた。

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