フェルスタッペンの心に火を点けた、メカニックの努力とホンダの心意気 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy


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 これは、ホンダが開幕2戦で出力を抑えてコンサバティブに使っていたという意味ではない。

 開幕時点では8戦目までしかカレンダーが確定しておらず、パワーユニットマニュファクチャラーには当初、FIAから「14戦以下で年間2基を前提にシーズンを戦うよう」通達がなされていた。

 しかし、ムジェロ(第9戦トスカーナGP)とソチ(第10戦ロシアGP)の開催が正式に決まり、その後のシーズンの見通しが立ったことで、主要コンポーネントが3基使用可能になる年間15戦を超える可能性が高くなってきた。

 1基で7戦走らなければならなかったものが、5戦程度で済むかもしれない。

 その判断もリスクではあるが、車体で大きく劣っている現状を少しでも補うために、パワーユニット側がリスクを取って攻めていこうということだ。

「これまで抑えていたのではなくて、(1基あたり使えるトータルの)貯金額は決まっているので、この貯金をいつまでに使いきればいいんだ、という考え方を少し変えてみました。(シーズンが15戦以下となった場合)2基でどうやって戦っていこうかと考えたとき、1基あたり7レースと考えているものをどう割り振るかを考えたうえで、とくにレッドブルは劣勢だったのでプッシュすることにしました」

 ハンガリーGPの週末は予想以上の苦戦を強いられたことで、フェルスタッペンのドライビングにもやや集中力に欠ける点が見え隠れしていた。

 しかし、スタート前のメカニックたちの懸命の努力、そしてホンダのプッシュ。車体の空力問題を補うため、全員がプッシュしあったことで、フェルスタッペンの心にも火が点いた。

 決勝ではウエットコンディションのスタートで一気に3位まで浮上。インターミディエイトタイヤでの走行を1周長く引っ張ったことで、ランス・ストロールをパスして2位に上がった。そしてバルテリ・ボッタスの猛追にも動じることなく、自分たちのベストを出し切って2位表彰台を獲得して見せた。

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