ウィズコロナのMotoGP初戦。絶対王者は転倒し、新ヒーローが誕生した (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 優勝を飾ったのは、ポールポジションスタートのクアルタラロ。21歳90日の若さで最高峰クラスの初勝利を達成した。レース中盤以降は独走状態で、MotoGPに新たなヒーローが誕生したことを強く印象づけた。優勝直後は歓喜の雄叫びを上げ、少し落ち着いた後、「できれば会場を埋め尽くすファンと、この喜びを分かち合いたかった」と話し、「家族や兄弟、今日ここに来ることができなかった友人たち、そして新型コロナウイルスの被害に見舞われたすべての人々に、この勝利を捧げたい」と述べた。

 このような記念すべき優勝を達成した夜は、通常なら、チームを挙げて街中のレストランかどこかで盛大なパーティを開いて大騒ぎするところだ。しかし、現今の世情を考慮して、クアルタラロは「(パドック内で寝泊まりする)モーターホームでのお祝いにしておくよ」と控えめに抑えておくとも述べた。

 無観客開催で会場の関係者数も最小限に抑えた「社会的距離」を維持するレースは、終わってみれば、いつもと同じ熱狂と波乱のドラマが支配する日曜の午後だった。

 次戦の舞台も、ここヘレスサーキット。2週連続開催で、アンダルシアGPと名を変えて今週末に第3戦が行なわれる。

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