超一流の走りを簡単に実行するストーナー。病と闘い、憧れのチームへ (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 08年と09年、ストーナーは多くのレースで優勝争いに加わったものの、チャンピオンには届かない結果が続いた。08年は6勝を含む11表彰台で年間ランキング2位。09年は優勝4回、2位1回、3位3回という成績でランキング4位。

 09年の第6戦のことを記しておこう。

 6月中旬に行なわれたカタルーニャGPでストーナーは3位に入った。しかし、決勝後の表彰式とそれに続く記者会見に登場したときの彼の顔色は、明らかに普通ではなかった。

 レース直後の選手たちは、流れる汗をタオルで拭いながら上気した表情で質疑応答に応じるのが通常だ。だが、この時のストーナーは、いつもの彼に珍しく疲れ切った様子で、顔色も青白く苦しげだった。そして、決勝レースの最中にヘルメットの中で嘔吐(おうと)していたことを明かし、体調不良を理由に会見場を中座した。その後数戦は継続してレースに参戦したものの、サマーブレイク開けの8月からは精密検査と休養のため、3戦を欠場した。

 復帰したのは10月上旬のポルトガルGP。ストーナーは、精密検査の結果、極度の疲労や体調不良の原因が、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)によるものと判明したことを明かした。消化酵素の一種が十分に機能しないことにより消化器などの不調を起こす疾患だった。

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