F1ドライバーの引退後。セカンドライフは億万長者、大統領候補も

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 3度の世界チャンピオンに輝いたネルソン・ピケは、母国ブラジルで通信やGPSを活用したトラックの管理サービスを提供する会社を創業。25年以上も業界トップの地位を占めているという。フェラーリで活躍したエディ・アーバインは不動産業で財を成し、91年にジョーダンをドライブしたベルトラン・ガショーはエナジードリンクを製造・販売する「Hype Energy Drinks」の代表として活躍している。

 変わり種はトヨタやルノーに所属したヤルノ・トゥルーリ。もともと祖父がワイン造りをしていたこともあり、99年にイタリアの歴史あるワイナリー『カストラーニ』社を買収。ワイン造りに精力を注ぎ、現在、世界中にワインを送り出している。

 数は多くないが、政治の道に進んだ者もいる。日本では昨年、山本左近が参議院選に出馬したが、フェラーリやウイリアムズで活躍したカルロス・ロイテマンはF1引退後に母国アルゼンチンのサンタフェ州知事となり、大統領候補にまでなった。イタリア人のアレッサンドロ・ナニーニも地元シエナの市会議員を務め、市長候補になっている。現在は政治家を引退し、家業である老舗菓子店の「ナニーニ製菓」のコンサルタント業務をしている。
引退後、F1チームのオーナーになったアラン・プロスト(写真提供/Renault)引退後、F1チームのオーナーになったアラン・プロスト(写真提供/Renault) F1が他のスポーツと大きく異なるのは、引退したドライバーがそのまま現場に残り、チームやメーカーに所属して仕事をするケースが極端に少ないことだろう。4度の世界チャンピオンに輝いたアラン・プロストが、ルノーF1の非常勤役員になっているほか、ラウダが亡くなるまでメルセデスF1の非常勤会長をしていたぐらい。

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