F1ドライバーの引退後。セカンドライフは億万長者、大統領候補も (2ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 このように自身の子どもをサポートする元F1ドライバーたちが、頻繁にサーキットに顔を出している。

 ビジネスの世界に転身する場合は、やはり勝手を知る自動車関連に携わることが多いが、「一番の成功者」といえばアメリカ人のロジャー・ペンスキーだろう。F1に参戦したのは1961年と62年の2シーズンだが、65年のドライバー引退後はシボレーのディーラーを営み大成功。その後、自らのチームを結成してインディカーやNASCARなどのシリーズに参戦。全米を代表する強豪チームとなっている。

 ビジネスも順調に拡大し、現在はシボレー、レクサス、アウディ、メルセデスなどの自動車ディーラーをいくつも抱え、トラック販売や物流、レーシングエンジンの研究・開発を手がけるイルモアの所有など数々の事業に参画している。さらに昨年末には、インディ500マイルレースが開催される聖地インディアナポリス・モーター・スピードウェイを買収。長者番付の発表で知られる経済誌『Forbes』によれば、ペンスキーは12億ドル(約1200億円)もの総資産を築いているという。

 自動車以外の世界でビジネス手腕を発揮したのは、3度の世界チャンピオンのニキ・ラウダ。現役時代の70年代後半から航空ビジネスに参入。墜落事故による会社売却などもあったが、「ラウダエア」「ニキエア」「ラウダモーション」と3つの会社をおこした。ラウダは昨年5月に亡くなったが、2018年に設立されたLCC(格安航空会社)「ラウダモーション」は今も事業展開している。

ニキ・ラウダ(写真右)は引退後に航空会社を創業した(写真提供/Mercedes-AMG)ニキ・ラウダ(写真右)は引退後に航空会社を創業した(写真提供/Mercedes-AMG) 1979年にフェラーリで世界チャンピオンになったジョディ・シェクターは引退後に軍事セキュリティ会社を設立して成功を収めた。その会社を売却して大富豪となった現在は、イギリスで有機農業の事業を展開している。

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