ロッシ、悪夢の2年間。MotoGP伝説の王者の再戴冠はあるのか?

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 19年の表彰台獲得は2戦のみで、ランキングは7位。ドゥカティ時代以来の低成績になった。

 このシーズンに象徴的だったのは、最高峰クラスルーキーの20歳、ファビオ・クアルタラロ。ヤマハサテライトチームながら王者マルケスと何度も熾烈なトップ争いをした、という事実だ。その姿は、約20年前に最高峰クラスへ昇格していきなり優勝争いを繰り広げたロッシを彷彿させた。

 クアルタラロは、契約を更改する2021年からヤマハファクトリーチームへ移籍することがすでに決定している。一方、ロッシはクアルタラロと入れ替わるような格好で、来シーズンにヤマハサテライトチームへ移るものとみられている。

 2000年に21歳でナストロアズーロ・ホンダのライダーとして最高峰クラスに昇格してきたとき以来、バレンティーノ・ロッシは常にファクトリーチームに所属してきた。つまり、人生の半分をMotoGP最高峰のファクトリーライダーとして生きてきたことなる。その彼が、おそらく21年は初めてサテライトチームの選手として過ごす。

 もちろん、形式的にサテライトチームに所属していても、ファクトリーの手厚い待遇を受け、事実上のファクトリー体制で戦うことはできる。だが、問題はそこではない。ファクトリーはバレンティーノ・ロッシを自陣のエースとしてもはや扱わなくなった、ということが厳然たる事実が、時代の変遷を象徴しているのだ。その21年に、ロッシは42歳という年齢でシーズンを戦う。

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