2020.06.03

セナとも仲良くやった人徳者ベルガー。今やモータースポーツ界の重鎮

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 またマクラーレン・ホンダ在籍時の1992年最終戦オーストラリアGPの優勝は、日本のファンにとっても印象深いレースだ。この年限りでF1を撤退するホンダにとっては、何が何でも勝ちたい一戦だった。頼みのセナはライバルのマンセルと接触して早々と姿を消すが、ベルガーはエンジンにトラブルを抱えながらも若きミハエル・シューマッハの追撃を振り切り、撤退するホンダに勝利をプレゼントするのだった。

 ホンダF1活動の第2期(83~92年)でベルガーの担当エンジニアをしていたのが現在ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治だ。2019年のオーストリアGPでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝し、ホンダは13年振りにF1の頂点に立った。

 レッドブル・ホンダの代表として登壇した田辺は、プレゼンターとして登場したベルガーと表彰台で熱い抱擁を交わした。そのシーンに日本の多くのファンが胸を打たれた。田辺はベルガーについて「彼はサーキットで会うと、現役時代と変わらずに『もっとパワーを出せよ』といつも声をかけてくれるんです」と話していた。

 現役時代はいたずら好きな悪ガキぶりばかりが強調されていたが、友情に厚く、気配りの人という素顔がうかがえるエピソードだ。

 昨年11月に富士スピードウェイでスーパーGTとDTMの交流戦が行なわれ、ベルガーはDTMの代表として訪れていたが、そこでも彼が信頼される理由を垣間見た。