バレンティーノ・ロッシは熱狂を生む。デビュー時から「もっていた」 (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 この当時のロッシは、そういう華々しいものをすべて自分のもとへ引き寄せてしまう強運と魅力とオーラをすべて備えていた。

ロッシは125ccと250ccクラスをそれぞれ2年目に制した後、500ccクラスでも2年目に王者になったロッシは125ccと250ccクラスをそれぞれ2年目に制した後、500ccクラスでも2年目に王者になった マシンとレザースーツはイエローを基調にした派手な配色で、他の選手たちと明らかに一線を画するファッショナブルなセンスが特徴的だった。アルド・ドゥルディがデザインする寓意に充ちた色鮮やかなヘルメットや、レーシングスーツの裾をジーンズのようにブーツの外に出す着こなし、すっと脚を前に上げて燃料タンクの上を跨がるようにバイクを乗り降りするスタイルなど、いちいちすべてがきわだって洗練されていた。

 余談だが、上記の鈴鹿の開幕戦ではビアッジとの遺恨がさらに深くなるできごともあった。

 当時のビアッジはマルボロ・ヤマハのエースライダーで、スポンサーカラーの赤に身を包んでいた。派手なイエローを基調とするロッシのカラーリングとコース上で絡み合うと、否が応でも目につく。そんなバトルのさなかだった。ビアッジが最終コーナー出口で左肘を使ってアウト側にいたロッシをダート部分へ押し出したのだ。コースへ復帰してストレートでビアッジの前へ出たロッシは中指を突き立て、挑発し返した。

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