2020.05.20

父の教えを実践するベッテルの人柄は、愛車を見ればわかる

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 昨年のブラジルGPで1988年のマクラーレン・ホンダMP4/4のデモ走行が行なわれた際にも、ベッテルはわざわざ1コーナーのはるか先にあるマシン整備用のテントまで歩いて行って、延々とマシンを眺めてはうれしそうにしていた。

 コース上では「勝ちたい」という気持ちが優ってしまうがゆえに、レッドブル時代にはチームオーダーを無視して勝利をもぎとり批判を呼んだ2013年マレーシアGPのマルチ21事件(※)や、2010年トルコGPでの接触などもあった。

※マルチ21事件=マルチ21とはレッドブルチームの暗号で「カーナンバー2(マーク・ウェバー)がカーナンバー1(ベッテル)より前」という意味。ベッテルは「マルチ21」の指示が出ていたにもかかわらず、それを無視してチームメイトのウェバーを追い抜いて優勝をさらった。

 2018年頃から急にコース上でのスピンや接触が目立つようになったのも、思うように走ってくれないマシンやレース戦略の不備をカバーしようと、限界以上にプッシュしてしまうからだ。予選やフリー走行ではなく、決勝の混走状況でミスが多いのはそういうことだ。