F1開幕戦の中止はなぜギリギリの決断になったのか? (7ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 F1のチェイス・キャリーCEOも「金のために決断が遅れたのではない。2日前にこうなることが予測できないような流動的な状況下で、我々は正しいタイミングで正しい決断を下したのだ」と語ったが、こうなる可能性をはらんでいることは何週間も前から、誰の目にも明らかだったはずだ。

 結局は、誰もが「中止」の言い出しっぺになって開催権料やチケット返金などの損害を被ることを避けたため、ここまで決断が遅れて、傷口が広がった状態での決定になってしまった。

 事実、第2戦・バーレーンGPと第3戦・ベトナムGPの延期も、この日の夜には正式発表された。すでに2月に延期が発表されていた第4戦・中国GPと合わせて、4月末までのすべてのグランプリが取りやめになった。

 会場内には無数のアルコール除菌剤が設置され、手洗いやマスク使用に関するガイダンスを周知徹底したり、万一の場合に備えて救護ポイントを多々設置したりと、主催者側の開催実現のための努力は、現地にいればよくわかった。

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