F1ビジネスの未来。トロロッソがアルファタウリにチーム名変更の意味 (3ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 たとえばメルセデスは、登録上ドイツのチームだが、ここはそもそも1960年代後半に誕生したティレルが起源になっている。ロンドン南部のバックヤードから始まったティレルは、その後、70年代にジャッキー・スチュワートがタイトルを獲得。F1史上に残る「タイレル6輪車」(ティレルP34)でも知られ、90年代には日本人ドライバーの中島悟や片山右京、高木虎之介などが所属していた時期もある。

 そのティレルは98年にたばこメーカーのブリティッシュ・アメリカン・タバコに買収され、翌99年からはチーム名称を「ブリティッシュ・アメリカン・レーシング(BAR)」に変更。さらにホンダに買収されて2006年からはワークスチームの「ホンダF1」に、そして、そのホンダが2008年のリーマショックでF1から撤退すると、翌年、ブラウンGPとして王座を獲得。さらにその翌年にはメルセデスがチームを買収し、2014年以降現在に至るまでチャンピオンシップに君臨している。

 一方、現在のレッドブルレーシングの出発点は、元世界チャンピオンのジャッキー・スチュワートが1997年に立ち上げた「スチュワート・グランプリ」だ。これが99年末にフォードに買収され、当時、フォード傘下にあったジャガーのPR戦略に組み込まれて「ジャガーレーシング」となる。

 だが、ジャガーレーシングのチーム運営は度重なるチーム代表の交代などで迷走が続き低迷。2004年、フォードがF1から事実上の撤退を決めた際に、エナジードリンクのレッドブルがチームを買収して現在のレッドブルレーシングに生まれ変わった。今やメルセデス、フェラーリと共に「トップ3」の一角を占める存在となっている。

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