F1ビジネスの未来。トロロッソがアルファタウリにチーム名変更の意味 (2ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一見、ごく小さな変化に思えるかもしれないこの出来事は、しかし、スポーツビジネスとしてのF1がMLBのようなアメリカ型のフランチャイズ方式へ舵を切っていることを象徴していると言える。

 今年からアルファタウリという名称になったこのチームは、もともと1970年代にミナルディとしてスタートし、イタリアの小さな、そして情熱的なプライベーターチームとして多くのファンに愛されていた。90年代後半には日本人ドライバーの片山右京や中野信治が所属していたことを覚えているファンも多いだろう。

 そのミナルディは2006年にレッドブルに買収されて、レッドブルの「ジュニアチーム」的な存在となり、トロロッソ(イタリア語でレッドブルの意)と名付けられたが、イタリアのファエンツァにあったファクトリーや多くの人員はそのまま引き継がれる格好になった。いわば、MLBでモントリオール・エクスポズがワシントン・ナショナルズへ変わったようなものだ。

 実を言えば、2020年のF1のグリッドを占めるチームのうち、ほとんどが何らかの形で一度は名称を変更している。例外は1950年から続くフェラーリと63年創設のマクラーレン、77年初参戦のウイリアムズ、そして今年で4年目の新興チームであるハースだけである。

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