王者ハミルトンが語る2019年のF1。4つのステージに分けて検証した (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



「パワーユニットに関して、信頼性はシーズンを通してすばらしかったけど、パフォーマンスの進歩はそれほどなかった。ホンダもフェラーリもかなり大きくエンジンを進歩させてきたなか、僕らにはやるべきことが残されていた」

 第3ステージでは、フェラーリがパワーを武器に突然の連戦連勝を築き始めた。だが、その覇権は長く続かなかった。

 シーズン最終盤の4戦、それが第4ステージ(第18戦・メキシコGP〜第21戦・アブダビGP)。

 第19戦・アメリカGPを前にFIAが技術指示書を出し、レッドブル・ホンダからの問い合わせに答えるかたちで、「燃料流量センサーが計測しない瞬間も、100kg/hの流量を超えていることは違法である」との見解を明文化した。

 1週間前のメキシコGPの時点からその話し合いが始まったことで、フェラーリは予選で使用していたアグレッシブなパワーユニットモードの使用を控え始めたと言われている。これにより、予選でのフェラーリの圧倒的な速さは失われ、決勝でも優勝争いからは遠ざかることになった。

 そうなると、勢力図は再び夏休み前の第2ステージの状態に戻り、メルセデスAMGとレッドブル・ホンダの激しいトップ争いが繰り広げられるようになった。第3ステージでフェラーリの速さを目の当たりにした彼らが揃って日本GPにマシンアップデートを投入し、このメキシコGPから車体性能をフルに引き出してきたことも追い風になった。

 メキシコGPではレッドブル・ホンダが最速だった。しかし、マックス・フェルスタッペンが予選の黄旗無視でポールポジションを逃し、決勝でも2度の接触で優勝のチャンスを逃した。

 アメリカGPでもポールポジション獲得寸前までいったものの逃し、決勝でも2対1の戦いを強いられて3位に終わった。ブラジルGPではレッドブルが完全に上回り、初のポールトゥウインを達成。しかし、中低速コーナーが多いアブダビGPではメルセデスAMGが強さを見せて、レッドブルは敗れた。

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