王者ハミルトンが語る2019年のF1。4つのステージに分けて検証した (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 予選でトップに立ったフェラーリ勢は、決勝ペースが多少遅かろうとレースを有利に進め、コース上で抑え込んで前でフィニッシュする戦略を採った。今のF1ではコース上での追い抜きに1.2〜1.5秒のタイム差が必要で、どんなにレースペースがいいメルセデスAMGであろうとも、ストレートの速いフェラーリを抜くことは簡単ではなかったからだ。

 スパ・フランコルシャンやモンツァ、ソチのようにストレートが長いサーキットでは、そもそもストレートが速いフェラーリの優位性が強かった。

「フェラーリは他チームとは少し異なるフィロソフィでマシンを作り上げてきていたし、少しダウンフォースが少なめで、その代わりにストレートでは速い。それがうまく機能したサーキットはたくさんあったと思う。今のF1ではトラックポジションが重要で、一度前に出られてしまうとストレートでの追い抜きはなかなか難しいからね」(ハミルトン)

 第15戦・シンガポールGPでは新型ノーズの投入によって低速域の挙動が改善され、シャルル・ルクレールがポールポジションを獲得。そして決勝では戦略上の幸運もあって、セバスチャン・ベッテルが優勝を果たした。

 しかし、予選で最速だった第17戦・日本GPでは、決勝でメルセデスAMGが強さを見せて逆転し、フェラーリは太刀打ちができなかった。シーズン終盤、タイヤマネジメントのうまさがメルセデスAMGの強さを支えていたことは間違いない。

「僕らは決勝でタイヤをうまく使い、優れた戦略によってフェラーリを破ることができた。僕もバルテリ(・ボッタス)も、タイヤがタレてしまって後退するような場面はほとんどなかったと思う。チームは本当にすばらしい仕事をしてくれた」

 その一方で、メルセデスAMGはパワーで負けていたことを認めた。ホンダがスペック4を投入してきたシーズン後半戦はとくに苦戦を強いられることになったと、ハミルトンも語っている。

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