トロロッソがホンダと築いた最良の関係。過去最高2度の表彰台に上った (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 また、トロロッソはレース戦略の運営面でも飛躍的な進歩を遂げて、確実にポイントを獲るレースができるようになった。

 雨で荒れた第11戦・ドイツGPで11年ぶりの表彰台(3位=ダニール・クビアト)を獲得することができたのも、運営面の進歩の賜物だ。アレクサンダー・アルボン(当時トロロッソ/第13戦からレッドブル)とクビアトにそれぞれ異なるギャンブルを打たせ、レース序盤はアルボン、レース終盤はクビアトが上位にくるように、どちらの展開になっても結果を残せるレースをしていた。

 最終戦アブダビGPでは、ルノーとランキング5位を8点差で争うところまできた。それが果たせれば、トロロッソにとっては自己最高位の結果となったはずだ。

 しかし、今年のトロロッソは冷静だった。

 Q3に進出したマクラーレン勢やルノー勢のことは考えず、16点差で追いかけてくるレーシングポイントとの争いだけを考えていた。純粋なマシンのパフォーマンスでは、「ルノーには敵わず6位」という現実的な見方をしていたからだ。

「我々はレーシングポイントだけを見てレースをした。チャンピオンシップ6位を確保したかったからね。1台は彼らと同じ戦略、そしてもう1台は異なる戦略を採ることで、たとえばセーフティカーがレース序盤に出ても終盤に出ても対処できるようにしておいた。

(レーシングポイントに完敗して)コンストラクターズランキング6位を失うことはないようにしたかったし、現実的に考えても我々の実力はランキング6位が妥当だ。シーズンを通してルノーのほうがマシンのパフォーマンスは優っていたからね」(エドルス)

 また、レッドブル・ホンダの成功によって、ホンダとの関係値がトロロッソによりメリットのあるものになったことも大きい。これは、ホンダがレッドブルとのタッグを決めた時からフランツ・トスト代表が繰り返し語っていたこととも合致する。

 完成品のパワーユニットを受け取ってマシンに組み込むだけの他カスタマーチームと違い、トロロッソはパワーユニットの開発段階からレッドブルテクノロジーを通してレッドブルとともにホンダと直接話し合いができる。レッドブルとトロロッソのテクニカルディレクター両名も、ファクトリーや現場で頻繁に話し合えた。これは、普通のカスタマーチームにはない大きなメリットだ。

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