トロロッソがホンダと築いた最良の関係。過去最高2度の表彰台に上った (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 今年のトロロッソはひとつひとつのアップグレードが小さなものだったとしても、それがきちんと効果を発揮したことで、着実にマシンパフォーマンスを向上させていった。

 シーズン後半戦は、ピエール・ガスリーが「マシンはベルギーGPから変わっていない」と語ったこともあった。だが、フロントウイングのような大規模なアップデートはなくとも、小さなモディファイは繰り返されていた。予選パフォーマンスでは0.1秒ほどの効果であったとしても、マシン全体の安定性やドライビングの快適性を向上させるものであったり、セットアップの幅を広げるものであったりと、レース週末全体のパフォーマンス向上に確実に役立っていたのだ。

 レース現場の技術オペレーションを取り仕切るチーフレースエンジニアのジョナサン・エドルスは、次のように語る。

「今年のシーズンに際して、我々は風洞のオペレーションなどさまざまな部分においてチーム体制を変えた。正直、開幕時点では自分たちのマシンのパフォーマンスがどのくらいなのかわからなかったけど、シーズンを通してここまで高いパフォーマンスを発揮できたのは驚きだった。

 とくに、シーズン序盤に投入したアップデートがうまく機能し、安定したパフォーマンスを維持することができたことで、すばらしい結果につながった。正しいタイミング、正しい場所にいたことで、ポイントを重ねていくことができた。体制も安定してどんどんよくなっている」

 そういった背景もあって、今季のトロロッソはマシンセットアップに迷うことが少なかった。昨年は持ち込みセットアップが当たれば速いものの、外した時は金曜から日曜までの流れのなかで挽回できないまま終わることも多かった。しかし、今年のトロロッソは金曜がダメでも土曜にはしっかりと方向修正を施し、とくに決勝で安定したパフォーマンスを見せた。

 たとえばシーズン中盤までは、暑いコンディションでレースペースに苦戦していた。しかし、それに対処するためのセットアップ、つまり予選と決勝の正しい妥協点を見極めることができるようになった。それが、暑かった第20戦・ブラジルGPで中団グループ最上位を走り、結果的に上位勢の自滅によって2位表彰台(ガスリー)を獲得できた理由だろう。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る