中野信治が語る日本人F1ドライバー育成。絶対に必要な資質とは? (2ページ目)

  • 川原田剛●取材・構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 彼が今後、日本人F1ドライバーが誕生にするために重要な存在になると語るのが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコである。中野は、現在ホンダとパートナーを組むレッドブルとトロロッソのドライバーラインナップに大きな影響力を持つヘルムート・マルコと連携しながら仕事を進めている。

「ヘルムートは、レッドブル・ジュニアチームのドライバーを送り込んでいる日本はもちろんのことですが、世界中のレースを本当に細かくチェックしています。どの国のどんなカテゴリーでどんなドライバーが戦っているのかを、驚くぐらいよく知っています。

 それに仕事の進め方もすごく速い。見た目は好々爺という印象なのですが、クールに次から次へと物事を進めていきます。今後、若い日本人F1ドライバーを育てるためには、彼とうまくコミュニケーションをとりながら仕事をすることが大事だと考えています」

 そのヘルムート・マルコが今、注目している日本人ドライバーのひとりが19歳の角田裕毅選手である。今シーズン、角田はホンダのドライバー育成プログラムである『ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)』だけでなく、レッドブルのドライバー育成プログラム『レッドブル・ジュニアチーム』のサポートも受け、FIA-F3選手権に参戦。F1のイタリアGPの前座として開催されたレースでは自身初の優勝を飾り、ランキング9位という活躍を見せた。

 角田は12月上旬にアラブ首長国連邦の首都アブダビにあるヤス・マリーナ・サーキットで開催されたF1の登竜門と言われるFIA-F2のテストに参加し、好タイムをマークしている。

「角田の物怖じしないところや、どこでも入っていけるいい意味での図々しさは、世界で戦ううえではアドバンテージになると思います。ドライビングに関しても、スペインとベルギーで彼の走りやデータを見ましたが、うまいですし、積極性があります。ヘルムートは待つドライバーよりも、追い抜きを積極的に仕掛ける選手を求めています。角田のアグレッシブさは、ヘルムートに評価されています」

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